大津中2いじめ自殺裁判判決日が2019年2月19日に決まりました

大津中2いじめ自殺事件について

大津中2いじめ自殺事件について、 平成31年2月19日、大津地方裁判所は、「いじめ自殺は通常損害である」と明言する画期的な判決を下しました。この判決は、「一連の行為の積み重ねにより、被害生徒に希死念慮を抱かせるに足りる程度の孤独感・無価値感を形成させ、さらに、被告少年らとの関係からの離脱が困難であるとの無力感・絶望感を形成させるに十分であり、そのような心理状態に至った者が自殺に及ぶことは、一般に予見可能な事態といえるから、被害生徒の自殺は通常損害に含まれるというべきである」として、いじめと自殺の相当因果関係を認めました。
いじめから自殺に及ぶことが「一般に予見可能」であり、自殺は「通常損害」であると明言した判決は、当所が調査した限りでは他に見当たりませんでした。 なお、判決は、最高裁ホームページ等でもご覧になれます。
この判決は全国からお寄せ頂いた皆様の激励のお言葉、カンパが力となって勝ち取ったものです。
この判決が、全国のいじめ事案にとって救済の一助となることを願って止みません。

・弁護団コメント
・遺族コメント(1審)

令和2年2月27日、大阪高等裁判所は、大津地方裁判所に引き続き、「いじめ自殺は通常損害である」と明言する判決を下しました。 この判決では、本件のいじめの内容に加え、いじめ自殺が学術的に一般的知見として確立していること、いじめ自殺の報道も珍しいものではないこと、社会一般に広く認知されていること、行政もいじめ自殺への対策を講じていること、これらを背景としいじめ防止対策推進法が成立したこと等が丁寧に認定されました。その上で、「 本件各いじめ行為を受けた中学2年生の生徒が自殺に及ぶことは、本件各いじめ行為の当時、何ら意外なことではなく、むしろ、社会通念に照らしても、一般的にあり得ることというべきであり、(被害生徒の)自殺に係る損害は、本件各いじめ行為により通常生ずべき損害に当たるものということができ、控訴人らの本件各いじめ行為と(被害生徒の)自殺に係る損害との間には相当因果関係あるものと認められる。」として、いじめと自殺の相当因果関係が認められました。
高等裁判所レベルで、いじめ自殺を「通常損害」であると明言したことは、当所が調査した限りでは全国初で、同様の事案にとって非常に価値の高い先例となることは間違いありません。
この判決は全国からお寄せ頂いた皆様の激励のお言葉、カンパが力となって勝ち取ったもので、ご協力頂いた皆様には改めて感謝申し上げます。
他方で、大阪高等裁判所は、被害生徒が自らの意思で自殺を選択したこと、被害生徒の親は家庭環境を整えることができず、被害生徒を精神的に支えられなかったことなどを理由に、損害賠償額を4割減らす過失相殺を認めました。
この判断は、酷いいじめに遭った被害者が、自殺を選択せざるを得ない状況に追い込まれてしまうこと、自身の生死について判断能力を奪われてしまうことを無視したものです。また、現代は様々な「家族の形」があり、裁判所が考えるような「整った家庭」に当てはまらない家族もたくさんありますし、「親だからこそいじめに遭っていることを打ち明けたくない」と思う子供達が多く、必ずしも親がいじめ被害に遭う子供を支えられる状況にあるとは限りません。
それにも関わらず、これらの事情を被害者側の「過失」と考えられてしまうことには大きな問題があります。当所では、このことを最高裁判所に問うていきたいと思います。

・遺族コメント(2審)

この記事を書いた人

吉原稔法律事務所